網膜疾患とは、目の奥にある網膜に異常が生じる病気の総称です。網膜はカメラのフィルムのような役割を持ち、光を受け取って視覚情報を脳に伝える重要な組織です。網膜に異常が起こると視力低下や視野の欠損が発生し、放置すると失明に至ることもあります。日本では加齢や生活習慣病の増加に伴い、網膜疾患の患者数が年々増加しています。

網膜疾患
網膜疾患
網膜疾患とは、目の奥にある網膜に異常が生じる病気の総称です。網膜はカメラのフィルムのような役割を持ち、光を受け取って視覚情報を脳に伝える重要な組織です。網膜に異常が起こると視力低下や視野の欠損が発生し、放置すると失明に至ることもあります。日本では加齢や生活習慣病の増加に伴い、網膜疾患の患者数が年々増加しています。
網膜疾患にはさまざまな種類がありますが、代表的なものは以下の通りです。
網膜が眼球の内側から剥がれてしまう病気で、突然の視野欠損や飛蚊症が現れます。早期の治療が重要で、放置すると失明のリスクがあります。特に強度近視の人は発症リスクが高いため、注意が必要です。
網膜剥離は、網膜の一部が裂ける(網膜裂孔)ことで眼球内部の液体が網膜の下に流れ込み、網膜が剥がれてしまうことで発生します。外傷や加齢、強度近視がリスク要因となります。
糖尿病によって網膜の血管が損傷し、視力低下を引き起こす病気です。進行すると硝子体出血や網膜剥離を伴い、失明に至ることもあります。糖尿病患者の約3割が発症するとされ、糖尿病の三大合併症のひとつです。
高血糖状態が続くと、網膜の細い血管が損傷し、血流が悪化します。これにより酸素不足が生じ、新生血管が異常に増加しますが、これらの血管はもろく、出血や網膜の損傷を引き起こします。
加齢に伴い網膜の中心部(黄斑)が障害される病気で、視界の中心がゆがむ・暗くなるなどの症状が現れます。特に欧米では失明原因の上位に位置する疾患です。日本でも高齢化に伴い患者数が増加しており、注意が必要です。
黄斑部に老廃物が蓄積することで細胞が傷つき、視細胞が減少します。さらに、新生血管型では異常な血管が増殖し、出血やむくみを引き起こします。
網膜の静脈が詰まり、血流が滞ることで視力低下を引き起こす病気です。高血圧や動脈硬化がリスク因子とされています。治療を受けても視力が十分に回復しないことがあるため、早期発見と血圧管理が重要です。
網膜疾患の診断には以下のような検査を行います。
網膜疾患の治療は、疾患の種類や進行度によって異なります。以下に代表的な治療法を詳しく解説します。
網膜の中心である黄斑に新生血管ができるタイプの疾患では、「VEGF(血管内皮増殖因子)」という物質が異常に分泌されます。これを抑制する「抗VEGF薬」を目の中(硝子体内)に直接注射する治療法です。
※注射は外来で行い、点眼麻酔により痛みはほとんどありません。
網膜に発生した異常な血管や裂け目にレーザーを照射し、進行を食い止める治療です。
硝子体とは眼球内部を満たしているゼリー状の物質で、ここに出血や混濁がある場合や、網膜剥離の修復が必要な場合には、硝子体手術を行います。
糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症で黄斑にむくみが生じている場合、ステロイド薬の注射や内服により炎症や浮腫を抑えることがあります。抗VEGF薬が効きにくいケースに併用されることもあります。
網膜疾患は再発する可能性もあるため、医師の指示に従い、継続的なフォローアップが重要です。
網膜疾患を予防するためには、生活習慣の改善が重要です。
網膜疾患の中には、遺伝的要因が関与するものもあります。特に網膜色素変性症や一部の加齢黄斑変性は遺伝の影響を受けることがあります。家族に網膜疾患の方がいる場合は、定期的な眼科検診を受けることが大切です。
多くの網膜疾患は自然に治ることはなく、適切な治療が必要です。特に網膜剥離や糖尿病網膜症などは、治療を受けずに放置すると視力を大きく損なう可能性があります。
緑黄色野菜(ほうれん草、ケールなど)に含まれるルテインやゼアキサンチン、青魚に含まれるDHA・EPAが網膜の健康をサポートします。ビタミンCやEなどの抗酸化成分も重要です。
直接的な原因にはなりませんが、長時間の使用は眼精疲労を引き起こします。適度な休憩を取り、画面の明るさを調整することが推奨されます。
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